五大予防をご存知ですか? 〜愛犬を守る5つの予防〜
「動物愛護管理法」において、動物の所有者等の責務として、「動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うよう努めること」が追加されました。
①感染症
犬の感染症は、年1回のワクチンの接種で予防する事ができます。
○犬パルボウイルス感染症
○犬伝染性咽頭気管炎
○犬ジステンパー
○犬伝染性肝炎
○犬パラインフルエンサザウイルス感染症
○犬レプトスピラ病(動物由来感染症)
レプトスピラ症は、犬だけでなく人にも感染することがあります。
厚生労働省は、このような動物から人に感染する病気を「動物由来感染症」と呼び、注意を呼び掛けています。
○犬コロナウイルス感染症
②犬フィラリア症(動物由来感染症)
フィラリア症は蚊が媒介するとても恐い寄生虫病です。蚊の吸血とともに体内に子虫が侵入し、最終的に親虫となって心臓に寄生します。
突然死を起こす場合もありますが、多くは慢性的に経過し心臓病を発症します。
この病気は予防さえしておけば決して罹ることのない病気です。
フィラリアの予防薬は蚊に刺されないためのお薬ではありません。
飲み薬は1ヶ月間効果のある薬でもありません。
1ヶ月の間に体の中に侵入した可能性のあるフィラリアの子虫を、体に害が生じないうちに殺す(駆虫する)ことが目的です。したがって1回飲ませたらその後1ヶ月間予防できるということにはなりません。蚊は窓の開閉の際にお家の中に入ってしまうために、お家の外にまったくでない子でもあっても感染の危険性は十分あります。
地域にもよりますが、ここ熊本ではおよそ5月から12月末(または1月)の間、合計8回(または9回)の投薬が最も好ましいと思われます。
人の症状は、咳、血痰、発熱などの症状を認めますが、無症状の場合も多く、胸部X線で偶然陰影として病変が発見され、肺ガンや肺結核と間違われて開胸手術を受ける例もみられます。
③ノミ・マダニ
ノミ・マダニは寄生されて不快感を与えられるだけでなく、犬猫や人に恐ろしい病気をうつすことがあります。獣医師の指示通り、毎月1回予防をしましょう
バベシア症に注意!
バベシア症とは?
バベシア原虫という病原体が犬の体内に入ることにより起こる、犬にとっては致命的な感染症です。バベシア症に感染した犬では重度の貧血が起こり、放置すると死に至るという非常に恐ろしい感染症です。
バベシア症はマダニが媒介する
この病原体はマダニを中間宿主としています。この病原体に感染したマダニが犬の血を吸血するときにバベシア原虫がダニの体内から犬の体内へと移動します。
バベシア症に感染すると・・・
犬の体内に侵入したバベシア原虫は血液中で赤血球に寄生します。感染した犬の免疫システムはバベシアが寄生している赤血球のみならず正常な赤血球までも破壊することが知られています。こうして致命的な貧血が際限なく進行していきます。
一年を通してマダニ予防を!
マダニは年中活動しています。バベシア症はマダニによって媒介されますから、マダニに吸血されないことが最大の予防策になります。それには動物病院で扱われている薬剤が最も効果的です。
※最近では、マダニが媒介するSFTS(動物由来感染症)という、 人の死に関わる病気も見つかっています。
④避妊・去勢
もともとは望まれない妊娠による不幸な動物を増やさないために行われてきました。
しかし、最近では生殖器に関わる病気の予防の為に勧めています。男の子では、精巣の腫傷や前立腺肥大等。
女の子では、卵巣や乳腺の腫瘍、子宮の病気を防ぐためにも、避妊去勢をしましょう。
⑤狂犬病(動物由来感染症)
狂犬病は、犬だけでなく人間を含めた全ての哨乳動物が感染する病気です。発病すると死亡率は100%!
「狂犬病予防法」により年1回のワフクチン接種が義務付けられています。
猫は室内で飼おう!
「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」に猫の室内飼育に努めることが明記されています。室内飼育のメリット・デメリットとは?
メリット |
①交通事故にあう危険がない ②感染症にかかる危険が少ない ③ご近所トラブルが少なくなる ④虐待などの被害にあうことがない |
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デメリット |
猫が退屈しやすい →環境を整え飼い主がコミュニケーションをとることで、 猫は室内飼育でも十分に幸せに暮らせます!! |
猫に快適な室内環境
○室内の安全対策
脱走しないように、窓や扉の戸締りを徹底しましょう。
口にすると危険なものを片づけましょう。(電気コード、観葉植物など)
外を眺める場所
窓の外を見るという刺激が与えられ、「退屈」を感じにくくなります。 |
くつろげる場所
柔らかな布の上、暖かな場所を好みます。
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隠れ場所
猫は本来臆病な動物です。驚いたときに猫が逃げ込めるスペースを用意しましょう。 |
トイレ
猫は非常にきれい好きで、トイレにこだわりがあります。 |
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上下運動
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入り組んだ動き回れる空間
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爪とぎ
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ケージ
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上下運動や動き回れる空間があると、猫は自分でエネルギーを発散できるため、問題行動の予防になります。 |
猫は爪とぎの習性があります。家具や柱などで爪を研がないように、専用のものを用意しましょう。 |
子猫のうちから習慣づけて上手に使うとよいでしょう。災害時や入院時にも役に立ちます。 |
飼い主とのコミュニケーション
室内飼育されている猫の場合は他の社会や動物との接点がないので、その分飼い主が毎日コミュニケーションを図り、かまってやる必要があります。話しかけたり、なでたり、おもちゃを使って遊んだりする時間を作りましょう。フィラリア検査が陽性の場合
①外科的な摘出術
大静脈症候群(急性フィラリア症)を起こし緊急の場合にのみ行い、通常は行いません。頚部の血管から細い器具を入れて、心臓内のフィラリア成虫を直接摘出します。
②予防薬の通常投与(5月〜12月)
フィラリア陰性の犬が月に一度飲んでいる予防薬を同じように投与し、新たな感染が起こらないようにしながら、すでにいる成虫の寿命を待つ、という方法です。(成虫の寿命約 5〜6年)
③予防薬の長期 (通年)投与 (1月~12月)
フィラリア予防の薬を、通常と異なる飲み方で使用します。
陰性の犬は冬の間は予防薬を飲まないと思いますが、この治療の場合は、年間を通して毎月一回飲み続けます。通常投与より成虫の寿命が短くなると言われています。(成虫の寿命約 2〜3年)
④予防薬の長期(通年)投与+抗生物質投与(1か月毎日、3か月休薬繰り返し)
③の予防薬の長期投与に加えて抗生物質を併用する方法です。
実は、近年、寄生虫であるフィラリアを宿主として寄生する菌があるということが発見されました。その名も『ボルバキア菌』。一般的な細菌とは違って、単独では生きられません。生きるためには、宿主の細胞に寄生する必要があります。
よって、宿主を殺すような菌ではなく、宿主と共生し、さらには自らが生き残るために宿主の働きを活性化させるカを持っている菌です。このボルバキア菌が、フィラリアの虫体内に存在し、互いにメリットのある関係を作り出しているにとが発見されたのです。
ボルバキア菌を殺すことにより、フィラリアを弱らせておいて、予防薬を1か月毎に1回飲み続けます。抗生物質は1か月飲み続けたところで、2~3か月休む。これを1クールと考えます。で、休んだあとはまた同じように1か月飲み続ける、というサイクルを繰り返します。(成虫の寿命約半年~2年)
※治療は、検査が陰性になるまで続け、その後は通常の予防を開始します。フィラリアに感染したらいつ亡くなっても不思議ではありません。それは、治療中でも同じです。フィラリアは予防が基本です。
マダニ媒介ウイルス〔重症熱性血小板減少症候群(SFTS)〕
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
重症熱性血小板減少症候群は、ブニヤウイルス科フレボウイルス属のSFTSウイルスの感染によって起こる病気で、マダニがウイルスを媒介します。
新興感染症であり、2013年に国内で初の感染者が出て以来、人で400名以上が感染し、60名以上が死亡しています。発生地域は九州、四国、中国をはじめとした西日本各地となっています。
野生動物の間にすでに蔓延しており(山口の検査ではシカの40%が陽性)、その血を吸ったダニが媒介者となって、人間や犬猫にウイルスを移します。
感染しウイルス血症となった動物の血液や体液に触れることで感染する可能性があります。
症状
症状は、発熱、食欲消失、白血球減少症、血小板減少症、高ビリルビン血症などです。
消化器症状やリンパ節腫大などを示すこともあります。
様々な動物で症状を起こしますが、特に猫は重篤な症状を示します。
治療法
治療法は対症療法のみであり、有効な治療法はありません。
ワクチンはなく、対策はダニの刺傷を避ける事と、発症動物との接触を避けることのみとなります(特に噛まれたり血液に触れたりは危険)。
感染した場合の人の死亡率は10-30%と高率であり、猫から飼い主や獣医師、動物看護士が感染した事例も報告されているため、注意が必要です。
猫は室内で飼育して外に出さないか、マダニの駆除薬を投与しておいた方がいいでしょう。
可能性のある症例では、獣医師側も手袋、ゴーグル、マスクを着用して診察をさせていただきますのでご了承ください。
犬・猫の年間健康管理
ワンちゃんの年間健康管理スケジュール
ねこちゃんの年間健康管理スケジュール
ノミ・マダニに要注意!
○ノミについて
ノミは気温が13度以上あれば活動が可能な生き物です。
冬でも家の中は暖かいので、室内でのノミ繁殖を予防する必要があります。
犬や猫だけでなく、人間に咳みつくなどの被害を防ぐためにも、しっかり愛犬愛猫のノミ対策を行いましょう。
○マダニについて
マダニは草むらややぶの中で年中活動しています。マダニは原虫、細菌、ウイルスなどの多くの病原体の運び屋となり、猫や犬だけでなく人間の命も脅かします。
近年「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という致死率の高い病気の被害が目立っていますが、他にも「日本紅斑熱」「Q熱」「野兎病」「ダニ媒介性脳炎」などの病気を運んでしまう危険性があります。
犬や猫もSFTSに感染すると死に至ることもあると分かってきました。被害にあう前に、しっかり愛犬愛猫のマダニ対策を行いましょう。
犬のしつけ教室「パピーパーティー」のご案内
飼い主さんとの良い関係づくり
皆様のわんちゃんがご家族だけでなく、周囲の人たちからも愛されるようになってほしい・・・そのためにまず必要なことは「人と動物が良い関係である」ことです。
当院のパピーパーティーでは、わんちゃんと飼主様が楽しみながらレッスンすることで、絆を深め、信頼関係を構築し、幸せな毎日が送れるようなお手伝いをしています。
こころにもワクチンを♪
子犬との生活が始まり病院を受診すると、病気の予防としてワクチン接種をすすめられます。怖い病気から愛犬を守ってくれる大切な注射です。
犬にとって体の健康と同じくらい大切なのが『こころの健康』です。
犬も人と同じで体と心の両方が健全であって初めて幸せな生活を楽しむことができるのです。
子犬の時から十分な社会化を行い、飼い主さんと良い関係を築くことが今後の問題行動の予防になります。病院スタッフがしつけと健康の両面から適切なアドバイスを行うパピーパーティーは「こころのワクチン」となり、人と犬が幸せに生活していく上でとても大切な教育です。
病院で行うメリット
動物病院では、病気の治療や処置などをするために、動物にとっては苦手な場所であることも少なくありません。
子犬の頃から病院で楽しい経験をし、スタッフと良い関係を築くことで必要な処置もリラックスした状態で行うことができるようになります。同時に飼い主さんにとっても、病院が犬にとって楽しい場所であれば受診しやすい環境となり、病気の早期発見・早期治療にもつながります。
パピーパーティーとは…?
子犬が「社会性」を学ぶ、言わばワンちゃんの保育園のような場です。 将来、散歩をしたり、多くの場所に出かける機会の多いワンちゃんにとって、このパピーパーティーはとても大切な学習の場とされており、あらゆる方法で社会性を身につけるためのプログラムが組まれています。 また、犬を飼う上で大切なポイントもご紹介しますので、ぜひご参加ください。
○参加条件:2か月〜1歳対象(ワクチン接種済の健康なわんちゃん)
○定員:2〜5頭 先着順(予約制)
○費用:無料
○場所:きくちスマイル動物病院(菊池市大琳寺135-1)
○持参する物:愛犬の好きなもの(おやつ3種程度·おもちゃ)
首輪(チョークチェーン·胴輪は不可)
リード(伸縮タイプは不可)
うんち袋・ペットシーツ
クレイト(バリケン)及びケージ